最初は恋愛小説…読み進めると医療ミステリ。
そして活劇的なアクション。
途中で若干ストーリーがスローダウンするような感じの部分もありましたが、それも広範にかけての盛り上がりのための「溜め」なんだな…という感じで中弛みという印象は内です。
現実の醜さとフィクションならではの爽快さが同居しているのも良い感じ。
現実の醜さとしては、堕胎数が年間25万件(2007年統計)に達しているのにも関わらず、不妊クリニックに通う人が多いことにも表れています。
諸外国よりも養子に対する寛容さの無い日本では、引き取り手の無い子供も3万人を超えています。(2007年統計)
こういった事実と、医療技術の発達との関連を上手く結びつけ、更に貧富の差が大きく貧困の中での生活が日常化している国の状況を絡めて物語が作り上げられています。
まぁ…現実的なことを言い始めると突っ込みどころはかなり多いのですが、それはそれ。
エンターテインメント作品として楽しめます。
ある程度のリアルさのある医療、建築等の現場の描写も入っているので、知識が深まるような感覚も持たせてもらえます。