西の魔女が死んだ (梨木香歩)

いじめ…、何故生まれたのか…、生きていくこととは何か…、というような10代の頃に特に思い悩みがちな問題を扱っている小説でした。 小説を読んでいると、表面上にはそういうことには直接触れられている部分はかなり少ないです。 

梨木香歩_西の魔女が死んだ主人公の「まい」が西の魔女、母方の祖母のところで時間を過ごすようになったのには原因がありました。 前年はクラスの中での派閥、グループ形成にも上手く溶け込めていたのに、学年が上がった時に新たなグループ形成を行うことを億劫に感じてしまい、どのグループにも属すことなく過ごしてきたことがまいの不登校へと繋がっているのです。

本の中ではサラリと触れられていますが、まいはクラスで爪弾き、つまりムラハチにされてしまい不登校になってしまったのです。 まいの両親は素晴らしく、まいを一時期の間は学校生活と切り離すことにします。 その行き先が母方の祖母だったのです。

いろいろな田舎の生活を通じてまいは自分自身という存在に目覚めていきます。 エピソードの中には、まい自身の行動もそのまいをイジメていた友人と同じ行動をしている部分も出てきます。 西の魔女、母方の祖母はそういうときにもやさしくまいを見守ることにするのが素晴らしいです。

本で読むと「渡りの一日」という話しも入っています。 この話しが「西の魔女が死んだ」のその後の話しになっていて…楽しいというか…まいの復活した姿を垣間見る事が出来るのが嬉しいです。

大人が読んでも楽しいですが、中学生や高校生の頃に読むのも良いのではないでしょうか。 特に人間関係に悩んでいる人にはお勧めの一冊です。

(2011年2月24日:仕事帰りに電車の中にて読了)

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あの頃の誰か (東野圭吾)

今まで書籍化されていない訳ありの短編を8つを読むことをこの1冊で読むことが出来ます。

東野圭吾_あの頃の誰か東京ミッドタウンに行った折りに地下の本屋さんでついつい買ってしまいました…。 本は買わないようにしよう…と思っていたのに…。 というのも、まだ読んでいない本が部屋に積んであるんです。

新しく面白そうな本が出ると手を伸ばしてしまうので…あまり本屋さんには行かないようにしています。 でも…外出して本屋さんを見つけると立ち寄らずには居られないんですよ…。 ま…パチンコ好きな人がパチンコ屋に吸い寄せられるのとおなじでしょうね。

さて…本の中身は…というと…デビューした当初のタッチの作品が並んでいます。 最近の作品から読み始めた人には、なんだか違う作家の作品のようにも思えるのではないでしょうか…。

文章のタッチもそうですが…、ストーリー進行のあっさりしているところなども最近の東野圭吾さんの作品とは違います。 収録されている「名探偵退場」と「名探偵の掟」を読み比べたり、「さようなら『お父さん』」と東野圭吾さんの代表作とも言って良い「秘密」を読み比べたりしてみると良く分かります。

売れた作品の前にその一部やアイデアを他の作品として発表する…というのは一部の作家で行われています。 両方を読んでみて比べる…ということも読書の楽しみだと思います。

この本に収められている作品は以下になります。

 シャレードがいっぱい
 レイコと玲子
 再生魔術の女
 さよなら『お父さん』
 名探偵退場
 女も虎も
 眠りたい死にたくない
 二十年前の約束

どの作品も捻りをもう少しきかせたり、丁寧に人物像を描いていくと充実した長編作品になるんじゃないかなぁ…と思わせるものばかり…。

東野圭吾さんのファンにはとってもお勧めです。

あ…ファンではなくても「秘密」の映画、テレビドラマなどを面白いと思った方にもお勧めですよ。

(2011年2月:通勤電車の中で読了)

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馬鹿な男ほど愛おしい (田口ランディ)

作家デビュー前にWebに書いていた文章を集めたものだ…と後書きに書いてありました。

田口ランディ_馬鹿な男ほど愛おしい過去の男性とのつきあいを通じての赤裸々な自分の感じていたことや、どうしてそういう行動をとったのか…ということがエロ小説のような記述をすることなく、むしろ淡々としたタッチで描いてありました。

いやぁ…、結婚前も結婚してからも遊び回っていたようです。 80年代のバブルと呼ばれた時代の話しです。 その時代にはメッシーやアッシーなどと食事を奢ってもらうために呼び出す男性や、車での移動手段を提供してもらう男性のことを呼んだりする言葉も流行っているぐらいでした。

σ(^^)には全く縁のない世界で同じ時代でもテレビで見るだけのことでした。 田口ランディさんはそのメッシーやアッシーとのおつきあいもあったみたいです。 本当にそういうことをしている人も居たんですねぇ。 

この本は男性にとっても有益な情報がいろいろ詰まっています。 特にバーで女性を…と考えている男性には、なるほど…こういう考え方をしているのか…ということが分かる部分もあります。 まぁ…世の中一般の女性の感じとは違うと思うのですが…。

友人の女性の話なんかも書いてあるので、いろいろと男性に参考になるなぁ…と思う部分は田口ランディさん自身の事だけに留まって居なかったです。

以前購入してからこれで何回目かの読了ですが…毎回楽しく読んでいます。 田口ランディさんの感じている周りの男性や女性の人間像やその背景となる考え方や生活態度についての記載が好きです。

女性よりも男性にお勧めしたいです。

あ…でもコドモ向けの本ではないので大人になってから読みましょう…。

(2011年2月:再度の読了)

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図書室の海 (恩田陸)

恩田陸さんのいろいろなタイプの短編が入ってます。 

恩田陸_図書室の海前に2回、いや…3回だったかな…、読んでます。 でも、強い印象があまり残ってはいなかったので改めて読んでみました。

これまでに恩田陸さんの本を読んだ人だととても楽しめる1冊です。 出来れば六番目の小夜子、夜のピクニックを読んでから読んだ方が楽しめると思います。 もちろん、他の恩田陸さんの本を読んでいない状態でこの短編集を読んでから他の本を読んでみるのも楽しいと思います。

記憶にあまり残っていないのは、独立してひとつの短編として成立している話しもあるのですが、他の話しと関連付けて覚えていた話しの印象が強かったからのようです。 単独の話しとして簡潔している短編はミステリー、SFタッチのファンタジーなどいろいろな方向の話しがごちゃ混ぜになっています。

ま…この本だけということではなくて、他の恩田陸さんの本と一緒に楽しめる1冊です。

この本単体だと…なんとなく不完全燃焼のような感じがしました。

(2011年2月19日読了)

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アンボス・ムンドス (桐野夏生)

7つの短編が1冊にまとめられています。

桐野夏生_アンボスムンドスアンボス・ムンドス ーふたつの世界ー とサブタイトルが付いている本で中にはそれぞれの繋がりが全くない独立した短編7編が納められていました。 タイトルにするだけあって、アンボス・ムンドスという短編の印象が一番強く残っています。 最後に納められていたということだけでなく、内容的にも毒が特殊な毒ではなく、普遍的に多くの人がもっているのではないかと思わされる部分が、強く記憶に残る所以なのかな…なんて思いました。 文庫本で50ページ程度の作品ですが破壊力があります。

小学生の先生が、不倫をしている相手と旅行に出かけて夢のような時間を過ごして日本に帰ってきたところから地獄が始まりました。 教え子の1人が死亡したのです。 しかも…事故のようです。

子供が死んだそのタイミングに日本に居なかった、しかも不倫の旅行だからと不在にしていた2人へと世の中は牙をむきます。 でも…これは筋違いですよね。 2人が日本に居たとしても事故は防止できなかったし、事故での生徒の死亡も防ぐことは出来なかったと思うんです。

このように明らかに筋違いなことが普通に行われているこの日本の社会で敵意を向けられる存在になったときの救いのなさが怖いです。

話しはそれに留まらず更に悪意のうごめきがあり、その悪意は今も消えていないというところで集結するのです。 この落ち着きのなさに心を大きく揺さぶられてしまうのでしょう。

オトナ向けの人間の毒を上手く表現している本だと思います。 お勧めです。

(2010年読了)

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