この本で桐野夏生さんにハマりました。
最初は図書館で借りてきて読みました。 面白い!と…その図書館に置いてある桐野夏生さんの本を全部読んで…その後でもう一度読みたくなって買いました。
いやぁ…この本…衝撃的に面白いです。
上巻では主人公のカスミが娘を失うまでの課程やその後の出来事が描かれています。 読んでいるうちに、なぜ北海道に旅行に行ったのか…といったことなど主人公の心の動きと性格について次第に馴染み…まるでカスミを知人のような感じになってしまいました。
北海道の田舎の小さな田舎町から都会に出ることの不安…、都会に出た後の生活の困難さ…、東京に出てきてからの夢と現実のギャップ…といったことを残酷なほどに飾ることなく淡々とカスミの目線で物語が綴られています。 私は東京出身なので…なるほど…と思うことしきりでした。
小さな印刷工場の経営者の妻としての苦労や鬱屈というものが、普段の生活以外での楽しみを求める様子や心情の変化といったことも納得出来て違和感が無かったです。
過去の出来事を回想するときには、人によって記憶している言葉のトーンや会話の内容にズレが生じているところもリアルな感じで好きです。
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別に信心する気もないし…、宗教に関心がある訳でもないのに宗教に徐々に引き込まれていく様子も書かれています。 なるほどね…だから…こんなにも多くの人が実際に宗教に引き込まれていくんだな…ということも私にとっては新鮮でした。
この上巻ではカスミの生き甲斐の変遷についてが描かれてます。 そうだよなぁ…人間の生き甲斐って、その時の環境や出来事で変わっていくんだよなぁ…ということをつくづくと感じました。
あと…執着というのはそのまま続けていると生活の一部になってしまうんだな…と…。
時間に余裕のあるときに読み始めることをお勧めします。 だって、途中で読むのをやめることが出来なくなってしまうからです。
(実はこの本…3回買ってます…)