東野圭吾さんはいろいろなタイプの作品を生み出しています。 この秘密は泣けます…というか…泣きました。
書き出しがリアルでドキドキしてしまいます。
普段通りに…でも妻と娘が出かけているのでテレビを見ながら、妻の用意した食事を温めてテレビを見ているシーンから始まります。 最初はテレビを見るといっても…それほど見入るような感じではないのですが、あることをきっかけにテレビにかじりつくことに…。
そして…妻の精神が娘の体に…。
どんなことが起こるかリアルに書いてあって、その登場人物の気持ちの動きで心が動かされます。 相手の事を思いやる部分と、どうにもならないことにイライラする部分、人間はその両方を持っているということが良く描かれていてじんわりと心に染みてきます。
秘密…という題名が読み終わると…涙を誘います。 誰が誰に対して、何を秘密にしているのか…というところがあちこちに多重的に出てくるこのストーリー…素晴らしいです。
今年(2011年)発売された「あの頃の誰か」という名前の短編集に「秘密」の原型となる短編が収録されています。 読み比べてみると…中身がまるで違う…ことに気がつきます。
どちらも読んでいて楽しい作品です。 心にドンと響いてくるのは、こちらの長編の秘密の方に軍配が上がると私は思います。
映画化もされていますし、ドラマ化もされました。 私としてはテレビドラマの方が映画よりも良いかな…という感じです。 どちらも本とは若干違う味付けになっているので読んで観て楽しむのも良いのではないでしょうか。
どなたにもお勧め出来る作品です。
(2010年に購入して2度ほど読みました)