東野圭吾さんの昔のタッチの小説ですね。
元々エンジニアのが伝わってくるような作品です。 視点がエンジニア的な感じで…ネタがこれまた面白いです。
考えてみると…実際にこういうシチュエーションもありかな…と思うようなスキージャンプの練習風景もあります。 まぁ…実際にはこの小説で出てくるようなことはないと思うので、リアルなようでリアルではない物語でした。
今ひとつ納得いかない部分もあります。 それでも物語は面白く、次はどうなるんだろうと思いついつい次のページへと行ってしまう感じでした。
まぁ…この頃の東野圭吾さんはどちらかというとトリックが物語のメインにあるという感じです。 だから…最近の人間関係や心情の変化が中心に据えられている物語とは雰囲気が違います。 この鳥人計画も…人間心理についての読みもありますが、トリックをどうやって見破るか…というところに話しの重心がありました。
舞台はスキー場であったり…大学の研究室であったり…とあちこちに飛ぶのもなかなか面白いです。 メインのジャンプ台の周囲の施設は読んでいて情景が浮かんでくるような感じで…このあたりの筆致が東野圭吾さんだな…と思ったりもしました。
最近の東野圭吾さんの新参者、秘密、白夜行などの近年ドラマ化や映画化されている原作の本とは雰囲気がだいぶ違います。 だからといってガッカリすることはないでしょう。 最近の本よりもアッサリした筆致も新鮮だと思います。
とてもお勧めの1冊です。
(多分2007年頃に最初に読んでから何回か読んでます)