アンボス・ムンドス (桐野夏生)

7つの短編が1冊にまとめられています。

桐野夏生_アンボスムンドスアンボス・ムンドス ーふたつの世界ー とサブタイトルが付いている本で中にはそれぞれの繋がりが全くない独立した短編7編が納められていました。 タイトルにするだけあって、アンボス・ムンドスという短編の印象が一番強く残っています。 最後に納められていたということだけでなく、内容的にも毒が特殊な毒ではなく、普遍的に多くの人がもっているのではないかと思わされる部分が、強く記憶に残る所以なのかな…なんて思いました。 文庫本で50ページ程度の作品ですが破壊力があります。

小学生の先生が、不倫をしている相手と旅行に出かけて夢のような時間を過ごして日本に帰ってきたところから地獄が始まりました。 教え子の1人が死亡したのです。 しかも…事故のようです。

子供が死んだそのタイミングに日本に居なかった、しかも不倫の旅行だからと不在にしていた2人へと世の中は牙をむきます。 でも…これは筋違いですよね。 2人が日本に居たとしても事故は防止できなかったし、事故での生徒の死亡も防ぐことは出来なかったと思うんです。

このように明らかに筋違いなことが普通に行われているこの日本の社会で敵意を向けられる存在になったときの救いのなさが怖いです。

話しはそれに留まらず更に悪意のうごめきがあり、その悪意は今も消えていないというところで集結するのです。 この落ち着きのなさに心を大きく揺さぶられてしまうのでしょう。

オトナ向けの人間の毒を上手く表現している本だと思います。 お勧めです。

(2010年読了)

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