前に読んだんだけど、ぼんやりとしたイメージしかなかったのでもう一度読み返してみたけど、やっぱりぼんやりとした感じでした。
いわゆるパラレルワールドが話しの中心なのですが、時間は戻ったり先に行ったりはしないで、今生活している時間軸の中で話しは進んでいきます。 と…言ってもSF的な感じは全くなくて、どちらかというとアリスと不思議な国みたいな感じで、どこかにふと紛れ込んでしまったような雰囲気があります。
その紛れ込んだ世界と、自分が元々居たのは全く同じ街で、自宅も同じなのに大きな違いがありました。 何が原因かは分からないのですが、紛れ込んでしまった街には自分の家はあるのですが自分は存在しない世界なのです。
最後まで読んでも明確な結末が訪れないので、今回読んだ時も読み終わってぼんやりとした印象になっていました。 話しの中で出てくる謎解きみたいな部分も、お題を出されていないのに答えをいろいろ教えてくれるような感じで、何故かお節介焼きでおしゃべりな母を思い出しました。
ただ…主人公にとっては救いのないような終わり方というか展開の進み方なので、読み終わって読後感が良かったり、気分がすっきりということはまるでありませんでした。 あまり気分がダウンしている時には読まない方が良いかもしれないですね。
今回は2回目だったのでちょっとじっくり読んでみよう…と思ったのですが、通勤の往復1回で読み終わりました。 文章はこなれていて読みやすいです。
10代の頃に持っていたもやもやとして気分を出させてくれる小説でした。
SFやミステリを期待して読むとガッカリしてしまうかもしれません。 苦みのある青春小説としてお勧めです。
(2010年1月27日:東京ミッドタウンのスターバックスで読了)